アニメ『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』感想

『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』(以下『終末~』)というアニメは大層エモーショナルだったのだけど、じゃあなんでこの作品が僕の心にビシバシ刺さったのかを考えるにつけ、「原作ものの良いアニメ化とはどういうもの…

なぜ人が『Fate/Grand Order』の話をしていると僕の心はざわつくのか

タイトル通り。ぱっと思いつくかぎりで理由を箇条書きにしてみる。 なんかKeyが負けた感じがする ゼロ年代批評って無力だったのだなと突き付けられる やり始めた人が知らない言葉を話すようになるのが怖い 原作(stay night)が好きだからこその複雑な気持ち…

「批評再生塾」参加のご報告とか

気づけば3ヶ月もブログを書いていなかった。 ひとつには書くほどの題材がなかった(逆をいえば「題材」がなければブログを書いてはいけないという思い込みがあった)というのと、もうひとつはとある理由によりネタを小出しにするべきではないと考えていたか…

異形のアニメ『ハンドシェイカー』のここが凄い

今期ぶっちぎりで面白いアニメがある。 『ハンドシェイカー』。 正直つい先週まで全く歯牙にもかけていないアニメであった。キービジュアルを見て「クセのあるキャラデザだなあ」と思っていたくらい。 TVアニメ「ハンドシェイカー」公式サイト しかしふとし…

28 (orbital period)

12月30日に28歳になってしまう。恐ろしいことだ。だってロックスターとして死ねなかったことを意味するのだから……しかしカート・コバーンにしてもジム・モリソンにしても、それまでに死後讃えられるだけの伝説と逸話を遺したからこそ歴史に刻印されているわ…

映画『聲の形』感想

映画『聲の形』を観た。鑑賞後初めに思ったのは、この映画は「差別」や「いじめ」についての映画ではなく、むしろそれらがなぜ起きてしまうのか、ということを問題にしている映画だということだ。結論からいえばそれは「聴こえる/聴こえない」「話せる/話…

『君の名は。』感想

11月某日、結局『君の名は。』を観た。以前「金輪際能動的に観ることはないだろう」などと書いたが、そうはならなかったことをお許しいただきたい。ただ「嘘をついた」という感覚もなくて、この記事を書いたときとは状況が変わったというのがある。それはRAD…

『planetarian〜星の人〜』鑑賞記録――「Key」とは何か

映画『planetarian〜星の人〜』を観てきた。Keyとは何か、ということについて、とても示唆深いものを与えてくれる映画だった。 『planetarian』の原作には麻枝准・樋上いたる・折戸伸治、どの名もメインスタッフとしてクレジットされていない。でもKeyの作品…

『君の名は。』と新海誠とRADWIMPS――あるいは作品における「テーマ」と「手段」の関係性

『君の名は。』評に対する違和感 新海誠監督作品『君の名は。』が話題になっている。学生時代『秒速5センチメートル』の映像表現に衝撃を受け、(同時期に鑑賞した京都アニメーション版『CLANNAD』と合わせて)アニメ表現というものの大いなる可能性に打たれ…

アニメ『Rewrite』のOP/ED映像にPCノベルゲームの歴史を見る

アニメ『Rewrite』のOP/ED映像が第2話より放映されました。 双方非常に個性的な作りの映像になっていますが、OPの絵コンテを担当したのが「URA AC-Promenade」(以下、URA)さん、EDの絵コンテ・演出・作画を担当したのが「江畑諒真」さん。直接的には天衝監…

『Rewrite』の思い出を語らせていただきたい。

アニメ『Rewrite』が始まりますね。5年ごしのアニメ化。『リトバス』もびっくりですよ! やはりKey、根強いコンテンツ力というものを感じます。 「麻枝准トリビュート」という本も作った私ですが、『Rewrite』も好きです。麻枝さんはクオリティコントロール…

『劇場版 響け!ユーフォニアム』を観たら、『サクラノ詩』にしか見えなかった話

以下の文章は『サクラノ詩 -櫻の森の上を舞う-』のネタバレ要素を含んでいます。 また、『響け!ユーフォニアム』の一部のキャラクターの性格付けに対してばっさり切っているところがあるので、そういうのがちょっと…な方も回れ右推奨です。 なお、「ギャル…

個人的に面白かった「ライトノベル」を振り返ってみる

第22回電撃小説大賞「大賞」を受賞した作品『ただ、それだけでよかったんです』がとても読み応えのある作品で、同時にこれは「ライトノベル」なのかどうなのか? ということでも話題になっているようなので*1(なんというか、そういう自問自答をしたくなる作…

アニメ視聴・考察に関するインタビューに回答しました

ぎけん(@c_x)さんの企画する、ネット上でアニメの感想や考察を行っている人たちへの連続(擬似)インタビュー企画、「アウトライターズ・スタジオ・インタビュー」に回答者として参加しました(紹介してくださった磯貝祐司さん、ありがとうございます)。 …

記憶の再構成と共感のプロセス――「カゲロウプロジェクト」試論(『反=アニメ批評 2014winter』所収の論文より一部加筆・修正)

以下はサークル「アニメルカ製作委員会」発行の同人誌『反=アニメ批評 2014winter』に寄稿した論文に、加筆・修正を施した上で転載したものとなります(掲載誌の初版が出て一年となりましたので、同誌編集長の高瀬司さんの許可を得て掲載するものです) 記憶…

「ray」は僕の歌だった――BUMP OF CHICKENの「紅白歌合戦」出演を経て、改めて思うこと

なんで考えもしなかったのだろう。BUMP OF CHICKENの「紅白歌合戦初出場」は、幕張で行われたロックフェス「COUNTDOWN JAPAN 15/16」会場からの中継だった。これが意味していたのは、紅白歌合戦に「初出場」したのは、実のところ「ロックフェス」というカル…

BUMP OF CHICKENの「紅白歌合戦」出演に寄せる、ただの個人的な感慨

藤原基央は最初から人間だった。当たり前のことだ。そもそもBUMP OF CHICKENというバンドの一員なのだし、その他のスタッフの存在なくしてレコードは作れない。しかし彼の佇まいには、あくまで人間――「人」の「間」で生きるもの――であることを拒むような、他…

瞬間を閉じ込めた永遠――『ハイ☆スピード! -Free! Starting Days-』が京都アニメーションの最高傑作である理由

『ハイ☆スピード! -Free! Starting Days-』(以下『ハイ☆スピード!』)は京都アニメーションの最高傑作である。いやアニメーションの歴史を塗り替える一作と言っても過言ではない。この稿を最後まで書き上げて、そのような確信に至っている。 まずは「京都…

【既プレイ者向け】『サクラノ詩 -櫻の森の上を舞う-』雑感

※以下、『サクラノ詩 -櫻の森の上を舞う-』の重要なネタバレを含んでいるのでお気をつけください。 『サクラノ詩』は都合『素晴らしき日々』のテーマ性を延長したその先にある作品と考えられる。それは語りえないもの=神秘を浮き彫りにしたその先……言語によ…

合同誌『Life is like a Melody―麻枝准トリビュート』に編集協力として参加しました。

11/23(月祝)文学フリマ東京にて、編集協力として携わった一冊『Life is like a Melody―麻枝准トリビュート』が初頒布となります(評論も一本寄稿しています)。 『Life is like a Melody―麻枝准トリビュート』特設サイト 編集協力、といって何をしたのか?…

『Kanon』の追復曲(カノン)としての『天体のメソッド』――久弥直樹試論

11月23日(月祝)の文学フリマにて頒布予定、現在絶賛編集中の合同誌『Life is like a Melody ――麻枝准トリビュート』に寄稿予定の麻枝准論のベースとなっている久弥直樹論を再掲します(元の記事はこちら)。昨年放送されたアニメ『天体のメソッド』の完結…

Charlotte第十話を前に 「他人(が)思う故に我在り」という認識に到達した乙坂有宇くんの話

Charlotteは「アニメとして」は完全に破綻している。妹が死ぬ、それは乙坂にとっては「世界が終わる」ような出来事かもしれないが、客観的にそれを見つめている視聴者からすると「いや、崩れたのは校舎だろ」となってしまうし、直後の第七話でああまで堕ちき…

『ガッチャマン クラウズ インサイト』のフラット・デザイン――「現実」と「アニメ」の境界を融かすインターフェース

『ガッチャマン クラウズ インサイト』のOP映像は「写実的」という言葉の意味を根本から解体する。いや、それはすでに起こっていた事実を白日の下にさらけ出しただけなのかもしれない。この映像がさらけ出しているのは、「実写」と「アニメーション」の間に…

「Bravely You」の歌詞が『Charlotte』を信じられなくなってきた視聴者(つまり僕)への麻枝准の心の叫びに聴こえてきた話

そろそろ折り返しの第6話を迎えようとしてしいる『Charlotte』だが、麻枝准の「今回はスロースタート」「6話までは観て判断してほしい」との宣言通り、(私見で恐縮だが)どうも掴みが弱い印象がある。 確かに第3話からOP映像に追加された「謎の文字」による…

第2話およびOP映像から見えてきた、「Key/麻枝准的主題」の総決算としての『Charlotte』という可能性

『Charlotte』第2話が放送され早くも物語の核心に迫る設定が次々と開示されている。とくに友利の兄についての叙述は衝撃だった。襲いくる「過酷」にキャラクターが翻弄されるのは麻枝作品ではおなじみの図式だが、掴みどころがなくいまだ感情移入の難しい友…

『Charlotte』のヒロインがハンディカムを携えているのはなぜか/あるいは「映像」とは何か

「ゲンロン批評再生塾」の第3回ゲスト講師が渡邉大輔さん、テーマが「映像」ということで触発され、アニメ『Charlotte』を題材に文章を書いてみました。「今日、映像=映画とは何か」を改めて問い直すという今回の課題に、『Charlotte』のとあるモチーフにつ…

麻枝准脚本新作アニメ『Charlotte(シャーロット)』に期待する三つの理由

先日、「元」鍵っ子を自称するブロガーの方がこんな記事を上げていました。 麻枝准脚本新作アニメ「Charlotte(シャーロット)」に対する不安と期待 - りきおの雑記・ブログd.hatena.ne.jp 「元、なんてさびしいこと言うなよ……」と思うと同時に、こうして「…

麻枝准の新作『Charlotte(シャーロット)』のタイトルの意味について

先日、『Angel Beats!』につづく麻枝准による完全新作アニメ『Charlotte』の制作が発表された。いまだ全貌の見えない同プロジェクトだが、この「シャーロット」というタイトルからいろいろと考えがふくらむので書き記しておきたい。 結論から言ってしまうと…

久弥直樹のメソッド――『Kanon』のカノン(反復)として『天体のメソッド』を観る

10月より放送の始まった『天体のメソッド』。その原案・脚本をつとめる「久弥直樹」という名前に、聞き覚えのない視聴者も多いのではないだろうか。90年代末~2000年代初頭にかけゲームのシナリオライターとして活躍した氏の過去作を振り返りつつ、『天体の…

さようなら、メカクシ団――また、何処かで。

カゲロウプロジェクトの複雑に見える構造を解きほぐしていくと、後に残るのは家族の情や、似たような境遇にある者に対する共感だけだ。小説やアニメなど、「筋(プロット)」を持つはずのメディアに展開されたはずなのに、やはり「何が起こって、こうなった…