アニメ『色づく世界の明日から』オープニングテーマを担当する、ハルカトミユキの「オルタナティブ」な魅力

P.A.WORKSの新作アニメーション作品『色づく世界の明日から』の放送がスタートした。同スタジオらしい透明感のある映像表現、「色のない世界に生きる少女が、祖母が自分と同年代だった時代にタイムスリップする」という筋書きからどのような繊細なドラマが紡…

Key『Summer Pockets』総評

※以下、設定や物語展開について多くのネタバレがあります。これからプレイされる方はリターン推奨。 6月29日に発売されたKeyの新作『Summer Pockets』。2016年末の発表よりむろん心待ちにしていた。今作発売までの間には麻枝准氏の入院、樋上いたる・都乃河…

アニメ『刀使ノ巫女』がすごかった。

アニメ『刀使ノ巫女』がすごかった。完璧、100点満点すぎて書くことがないくらいなのだが、残念ながら一部熱狂的ファン以外には知られていないのが現状であるようなので、記録のためにも書いておこうと思う。まず話の展開が面白い。ある剣術の大会の決勝で、…

約束と呪い――「Key」と「久弥直樹」の差分として読み解く「麻枝准」

本テキストは、2015年に刊行した合同誌『Life is like a Melody―麻枝准トリビュート』に寄稿した文章を一部改稿したものです。同書が品切重版未定であることから、編集長・meta2氏の許可を得て転載します。 「麻枝准」の作家性について直接言及することは実…

「批評再生塾第3期」の修了と、この一年で僕自身に起きた変化について

批評再生塾というプログラムが終わってから振り返りのエントリを書いていなかったので(前回の投稿は最終課題の提出前)。 最終講評会がさる4月13日行われ、その模様はYouTubeで見ることができる。 いろいろな要因があったとは思うが、結果的に自分は最終の6…

「KSL Live World 2018」に行ってきた

5月6日、ゲームブランド・Keyの楽曲が披露されるライブの今年度版、「KSL Live World 2018 ~Summer Pockets & Key's Best Night~」に行ってきた。(公式サイト) 「神イベント」とはこのことか、と思った。 今年は新作ゲーム『Summer Pockets』が発売され…

『Charlotte』を解読する(補論)

※こちらの記事の補論として書かれています。sr-ktd.hatenablog.com 『Charlotte』を解読するにあたって一番の難所となるのが、やはり第9話「ここにない世界」で描かれる映像である。 結論からいえば、あれは「並行世界」なのであるが、後に登場する隼翼の「…

「中動態的家族」の誕生――『Charlotte』に見る新たな「約束」のかたち

※本稿は「ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾」第3期の國分功一郎さんゲスト回にて提出した評論文を改稿したものです。 1. 2010年代の終わりもいよいよ見えてきた今年の初め、あるひとりの音楽家の突然の引退会見が世間に波紋を投げかけた。 小室哲哉。90年代に一…

「批評」ってなんだ。

sr-ktd.hatenablog.com このエントリから気づけば半年以上が経っていた。 ゲンロン批評再生塾第三期。いよいよそのフィナーレを迎えようとしている(まだ最終課題の提出が残っているが)。 結果的には全15回中、2回登壇(蓮沼執太回、宮台真司回)。うち1回…

アニメ版『リトルバスターズ!』の「児童文学性」――脚本家・島田満さんを悼んで

脚本家の島田満さんが亡くなられた*1。島田満さんといえば、私にとっては何といってもアニメ『リトルバスターズ!』シリーズの構成・脚本を務められた方だ。私が『リトバス』に抱いている特別な思いについては以前にも書いたことがあるのだが、そこで書きき…

「観客の再発明」を超えて――「ポスト観客」時代の映画と「物語」(改訂版)

※本稿は「ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾」第3期の渡邉大輔さんゲスト回にて提出した評論文を改稿したものです。 邦画の興行収入歴代2位という記録を塗り替えた『君の名は。』を筆頭に、「アニメ映画の当たり年」と言われた2016年。それら「当たり年」の諸作…

「Long Long Love Song」

熊木杏里さんのライブ「An’s meeting ~Long Long Love Song~」に行ってきた。7月に麻枝准×熊木杏里の名義で発売されたアルバム『Long Long Love Song』の再現ライブ。セットリストはアルバムの曲順通り。当たり前のように素晴らしく、ライブで音源の印象か…

アニメ『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』感想

『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』(以下『終末~』)というアニメは大層エモーショナルだったのだけど、じゃあなんでこの作品が僕の心にビシバシ刺さったのかを考えるにつけ、「原作ものの良いアニメ化とはどういうもの…

なぜ人が『Fate/Grand Order』の話をしていると僕の心はざわつくのか

タイトル通り。ぱっと思いつくかぎりで理由を箇条書きにしてみる。 なんかKeyが負けた感じがする ゼロ年代批評って無力だったのだなと突き付けられる やり始めた人が知らない言葉を話すようになるのが怖い 原作(stay night)が好きだからこその複雑な気持ち…

「批評再生塾」参加のご報告とか

気づけば3ヶ月もブログを書いていなかった。 ひとつには書くほどの題材がなかった(逆をいえば「題材」がなければブログを書いてはいけないという思い込みがあった)というのと、もうひとつはとある理由によりネタを小出しにするべきではないと考えていたか…

異形のアニメ『ハンドシェイカー』のここが凄い

今期ぶっちぎりで面白いアニメがある。 『ハンドシェイカー』。 正直つい先週まで全く歯牙にもかけていないアニメであった。キービジュアルを見て「クセのあるキャラデザだなあ」と思っていたくらい。 TVアニメ「ハンドシェイカー」公式サイト しかしふとし…

28 (orbital period)

12月30日に28歳になってしまう。恐ろしいことだ。だってロックスターとして死ねなかったことを意味するのだから……しかしカート・コバーンにしてもジム・モリソンにしても、それまでに死後讃えられるだけの伝説と逸話を遺したからこそ歴史に刻印されているわ…

映画『聲の形』感想

映画『聲の形』を観た。鑑賞後初めに思ったのは、この映画は「差別」や「いじめ」についての映画ではなく、むしろそれらがなぜ起きてしまうのか、ということを問題にしている映画だということだ。結論からいえばそれは「聴こえる/聴こえない」「話せる/話…

『君の名は。』感想

11月某日、結局『君の名は。』を観た。以前「金輪際能動的に観ることはないだろう」などと書いたが、そうはならなかったことをお許しいただきたい。ただ「嘘をついた」という感覚もなくて、この記事を書いたときとは状況が変わったというのがある。それはRAD…

『planetarian〜星の人〜』鑑賞記録――「Key」とは何か

映画『planetarian〜星の人〜』を観てきた。Keyとは何か、ということについて、とても示唆深いものを与えてくれる映画だった。 『planetarian』の原作には麻枝准・樋上いたる・折戸伸治、どの名もメインスタッフとしてクレジットされていない。でもKeyの作品…

『君の名は。』と新海誠とRADWIMPS――あるいは作品における「テーマ」と「手段」の関係性

『君の名は。』評に対する違和感 新海誠監督作品『君の名は。』が話題になっている。学生時代『秒速5センチメートル』の映像表現に衝撃を受け、(同時期に鑑賞した京都アニメーション版『CLANNAD』と合わせて)アニメ表現というものの大いなる可能性に打たれ…

アニメ『Rewrite』のOP/ED映像にPCノベルゲームの歴史を見る

アニメ『Rewrite』のOP/ED映像が第2話より放映されました。 双方非常に個性的な作りの映像になっていますが、OPの絵コンテを担当したのが「URA AC-Promenade」(以下、URA)さん、EDの絵コンテ・演出・作画を担当したのが「江畑諒真」さん。直接的には天衝監…

『Rewrite』の思い出を語らせていただきたい。

アニメ『Rewrite』が始まりますね。5年ごしのアニメ化。『リトバス』もびっくりですよ! やはりKey、根強いコンテンツ力というものを感じます。 「麻枝准トリビュート」という本も作った私ですが、『Rewrite』も好きです。麻枝さんはクオリティコントロール…

『劇場版 響け!ユーフォニアム』を観たら、『サクラノ詩』にしか見えなかった話

以下の文章は『サクラノ詩 -櫻の森の上を舞う-』のネタバレ要素を含んでいます。 また、『響け!ユーフォニアム』の一部のキャラクターの性格付けに対してばっさり切っているところがあるので、そういうのがちょっと…な方も回れ右推奨です。 なお、「ギャル…

個人的に面白かった「ライトノベル」を振り返ってみる

第22回電撃小説大賞「大賞」を受賞した作品『ただ、それだけでよかったんです』がとても読み応えのある作品で、同時にこれは「ライトノベル」なのかどうなのか? ということでも話題になっているようなので*1(なんというか、そういう自問自答をしたくなる作…

記憶の再構成と共感のプロセス――「カゲロウプロジェクト」試論(『反=アニメ批評 2014winter』所収の論文より一部加筆・修正)

以下はサークル「アニメルカ製作委員会」発行の同人誌『反=アニメ批評 2014winter』に寄稿した論文に、加筆・修正を施した上で転載したものとなります(掲載誌の初版が出て一年となりましたので、同誌編集長の高瀬司さんの許可を得て掲載するものです) 記憶…

「ray」は僕の歌だった――BUMP OF CHICKENの「紅白歌合戦」出演を経て、改めて思うこと

なんで考えもしなかったのだろう。BUMP OF CHICKENの「紅白歌合戦初出場」は、幕張で行われたロックフェス「COUNTDOWN JAPAN 15/16」会場からの中継だった。これが意味していたのは、紅白歌合戦に「初出場」したのは、実のところ「ロックフェス」というカル…

BUMP OF CHICKENの「紅白歌合戦」出演に寄せる、ただの個人的な感慨

藤原基央は最初から人間だった。当たり前のことだ。そもそもBUMP OF CHICKENというバンドの一員なのだし、その他のスタッフの存在なくしてレコードは作れない。しかし彼の佇まいには、あくまで人間――「人」の「間」で生きるもの――であることを拒むような、他…

瞬間を閉じ込めた永遠――『ハイ☆スピード! -Free! Starting Days-』が京都アニメーションの最高傑作である理由

『ハイ☆スピード! -Free! Starting Days-』(以下『ハイ☆スピード!』)は京都アニメーションの最高傑作である。いやアニメーションの歴史を塗り替える一作と言っても過言ではない。この稿を最後まで書き上げて、そのような確信に至っている。 まずは「京都…

【既プレイ者向け】『サクラノ詩 -櫻の森の上を舞う-』雑感

※以下、『サクラノ詩 -櫻の森の上を舞う-』の重要なネタバレを含んでいるのでお気をつけください。 『サクラノ詩』は都合『素晴らしき日々』のテーマ性を延長したその先にある作品と考えられる。それは語りえないもの=神秘を浮き彫りにしたその先……言語によ…