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アニメ視聴・考察に関するインタビューに回答しました

ぎけん(@c_x)さんの企画する、ネット上でアニメの感想や考察を行っている人たちへの連続(擬似)インタビュー企画、「アウトライターズ・スタジオ・インタビュー」に回答者として参加しました(紹介してくださった磯貝祐司さん、ありがとうございます)。

ぎけんさんのサイトにはこれまでの回答の一覧が掲載されているのですが(総勢100人に迫る模様!)、自分の回答については転載OKということでしたので、こちらにも掲載させていただきます。 

(こういう機会でもないと自分のルーツや考え方を語る機会ってなかなかないので新鮮でした。Twitterの日々のつぶやきや個別の記事では浮かび上がってこないパーソナリティを開示することにもつながり、自分自身にとっても発見があるのでおすすめですよ!)

 


 

アニメを好きになったきっかけを教えてください。

自分は1988年生まれなんですが、幼稚園~小4(西暦にすると、1994年~1998年)まで親の仕事の都合で海外に住んでいたんですね。だから『エヴァ』をリアルタイムで観て衝撃を受けた、とかもないですし……そもそもテレビでアニメを観る、という経験が幼少期にはなかったです。テープに録画された「世界名作劇場」やディズニーのOVAを観る、というのが中心でした。それよりは母親が趣味で集めていた絵本を読む、というのが「物語」に触れる経験としては大きかったです。『だんまりこおろぎ』とか『パパ、お月さまとって!』のような、仕掛けのある絵本が好きでした。

そんな自分が「アニメ」というものを再び意識するようになったのが、大学一年時に放送されていた『CLANNAD』でした。「幻想世界」という道具立ては幼少期から馴染みのあった童話的な世界観を彷彿とさせましたし、聞けば原作はノベルゲームという、テキストとイラストと音楽が組み合わされた……いわば「仕掛け絵本のすごい版」のような媒体だという。ノベルゲームと(深夜)アニメに関心を持ったのが同時だったんです。

一方で『CLANNAD』をはじめとするノベルゲーム…選択分岐によって複数のヒロインとの物語を読んでいく、いわゆる「ギャルゲー」ですが、これには違和感を感じていました。主人公ひとりに対してヒロインが複数、という形式よりも、そもそも「恋愛」というものが主題になることについてですね。自分はちょうど男女の違いを意識するようになる10歳前後に大きな環境の変化(海外から日本への帰国)があったからか、男女の別なく「みんな」でひとつのボールを追いかけていた、その年代の光景を非常に大切なものとして記憶していて……「一対一」の関係性に閉じていく恋愛というものに対して、どうしても積極的な価値を認めることができないでいるのです。

なのでKeyの『CLANNAD』に続く作品、幼少期から続く友情をテーマにした『リトルバスターズ!』に惹かれたのは必然の成り行きでした。これがアニメ化するとなるとどうなるんだろう? と考え続けることが、2012年にアニメ化されるまでの約5年間における、自分の「アニメ体験」のほとんどだったと言っても過言ではありません。それは原作においては「ループ&リセット」というシステム面で表現されていた「恋愛劇から群像劇への展開」が、アニメという単線構造のメディアにおいてどのように表現されるのか、ということを考えることでもあります。自然と、その間に観るアニメも「ループやパラレルワールドなどの道具立てが用いられているもの」「ノベルゲーム原作のもの」あるいは「ノベルゲームのシナリオライターが関わっている作品」が中心になっていきました。

 

好きなアニメ作品を教えてください。

リトルバスターズ! シリーズ
・天体のメソッド
放課後のプレアデス
メカクシティアクターズ
輪るピングドラム

他にもありますが、今回は映像ソフトも持っており、繰り返し観ることで人生に深く食い込んでいると思える作品を挙げてみました。
好きな理由は上述の通りですね。「ループ」「パラレルワールド」「幼少期の回想シーン」「群像劇」などの要素には特に反応します。

 

好きな作品の中から1つ選んで、好きな理由を教えてください。

天体のメソッド

Keyの第一作である『Kanon』の企画・シナリオを手がけた久弥直樹さんが「もう一度“久弥直樹”をやってみよう」との思いで筆をとった本作。随所に『Kanon』のリフレインととれる要素が見られるのですが、特筆すべきはギャルゲーを原作に持たず、当初からオリジナルアニメとして企画された結果、「恋愛劇から群像劇への展開」……つまり「一対一の〈主‐客〉関係を、複数の個が連係し合う〈ネットワーク〉へと展開」することが、まさしく「メソッド」として顕在化している点です。詳しくはブログ記事「『Kanon』の追復曲(カノン)としての『天体のメソッド』――久弥直樹試論」をお読みいただけると幸いです。キャラクターデザインの可愛らしさ、「廃墟になった天文台」などの舞台立ても単純に好みです。

 

主に作品のどういう部分に注目しますか?

世界観が構造として取り出せる、ということですね。一見離れたように見える作品が、構造の水準においては似ているということを見つけ出すとわくわくします。それが物語的なテーマ性と連動していると、なお良いです。

 
あなたにとってアニメとは?

それについて語ることで、観る人それぞれのパースペクティブを浮かび上がらせる構造体。

 

感想(考察)を書こうと思ったきっかけを教えてください。

発見した「構造」を記録するため……だったと思います。

 

感想(考察)を通して何を伝えようとしてますか?またどう伝えようとしてますか?

そもそも「伝えよう」と思ってものを書いたことがないかもしれません。
自分が発見したアニメの「構造」を、面白いと思ってくれる人がどこかにいればいいな、と……「祈り」に似た気持ちで書き残しています。

 

あなたにとって感想(考察)とは?

「遺跡」のようなもの。(あとで読み返して「こんなこと考えてたのか~」となることも多いので)

 

ブログを書く場合、構想?日、実際に書く?時間、書いている時間に遊んでしまうことはよくある?

ものを書くとき一般のやり方なのですが、まずは思いついたままに整合性とか無視で、句読点も改行もほとんどせずにがーっと書きます。ある種のトランス状態に入る感じですね……。で、寝ます。寝ると頭が整理されて、要点だけが書いた中から浮かび上がってくるので、それらを「杭」にして全体を再構築していきます。「構想」とか「遊び」とか、厳密にそう分かれてないですね。無意識に出来上がったものが一番良いと思っているところがあります。

 

好きなキャラ・制作会社・スタッフを3つ(3人)ずつお願いします。

・好きなキャラ
物語の本筋とは別軸で固有の物語を持っていて、それがゆえに孤独に抗うことを強いられてしまうようなキャラは好きですね。ノベルゲームをアニメ化した際に、いわゆる「個別ルート」のお話が端折られてしまうキャラといいますか。
あとは各作品におけるマスコット的な存在が好きですね。『放課後のプレアデス』のプレアデス星人とか。

・制作会社
やはり京都アニメーションに対しては複雑な感情がありますね……笑 Key作品のアニメ化で培った「幻想性と写実性をシームレスに行き来する画面作り」と、山田尚子さんの台頭以降磨かれてきた「微細な仕草を捉えることでキャラクターの心情を表現する」演出の二本柱があると思っていて、個人的には前者の特徴こそ京アニ京アニたる魅力であると思っています。その現時点での集大成といえるのが映画『ハイ☆スピード! -Free! Starting Days-』で、これについては長文を書いたのでぜひ読んでいただきたいです(「瞬間を閉じ込めた永遠――『ハイ☆スピード! -Free! Starting Days-』が京都アニメーションの最高傑作である理由」)。そして皆ハイスピを観よう。

・好きなスタッフ
アニメ『リトバス』のシリーズ構成を担当した島田満さんはちょうど自分の母親と同い年のベテランの女性脚本家で、過去には世界名作劇場ロミオの青い空』の全話脚本を執筆し、絵本も出版されているという方です。その経歴が自分の幼少期に影響を受けたものとドンピシャで、そういう人が大好きな『リトバス』を再解釈してくれたのだから、もう最高という他ないですよね。『リトバス』は成年男性をターゲットにした「ギャルゲー」から、作品自体の持つポテンシャルによって児童文学と接続しえたわけです。本当に素晴らしい……。

 

影響を受けたブロガーと読んで影響を受けた記事を教えてください。

ヒグチ(@yokoline)さんは「まあ、座ってお茶でも飲んでいきなよ」といった感じの落ち着きある人柄や書きぶりに、自分にはないものを感じていつもこうありたいものだと思わされております。先日ご自身のサークルで発表されていた日常系論「日常系とは何か ~死者の目・生を相対化するまなざし~」(紹介記事)は決定版的な内容だったので、もっと多くの人に読まれてほしい。

磯貝祐司(@yuji_isogai)さんはアニメを観るってこんなに自由でいいんだ、好きなものを好きと言っていいんだ! というところで影響を受けています(Twilogで「えびてん」と検索したときの一連のツイート群が最高です)。
しかしそれよりも何よりも、先に書いたような「恋愛劇から群像劇への展開」とほぼ同じ「ものの見方」を共有していたというのが本当に奇跡的で……磯貝さんの本企画での「感想(考察)とは?」の回答には涙が出そうでした(インタビュー全文)。全然違う人生を歩み、違うタイトルに触れ、そして全く離れた場所に住んでいるのにここまで「ものの見方」を共有することができるなんて! アニメという媒体の持つポテンシャルと、インターネットの素晴らしさというものを同時に感じさせてくれた、唯一無二の出会いでした。

サカウヱ(@sakasakaykhm)さんのブログ・Twitterからは、「キャラクター語り」とはこういうものか、という示唆を受けました。「好きなキャラ」の項目で挙げた条件は、彼の提唱する「不憫女子」という概念に少なからず影響を受けています(参考記事)。音楽の趣味(主に邦ロック)も近しいのでそういった話をさせていただくことも多いのですが、音楽語りにおける「エモさ」をアニメ語りにも持ち込んでいいんだ、という気付きを得させてくれた方でもありますね。

 

BD・DVD以外に購入するものは?(イベント参加可)

サントラ、設定資料集など。

 

あなたが感想を書いていくためのモチベーションは、どこから湧いてきますか?またモチベーションを維持する方法など

アニメっていまだとSNSとかでわかりやすく共有される「ネタ」の供給地としても機能してると思うんです。それ自体が悪いとは言いませんが、アニメの持っているポテンシャルはもっと深い。表層的な「情報」の共有より、それを観る視点(パースペクティブ)が同じ人と出会えた奇跡のほうが幾億倍も人生を豊かにすることを僕は知っています。だからそういう義憤に駆られたとき、がモチベーションになりますね。そういう意味ではたまに「まとめサイト」みたいなのを見るのがモチベーションの維持につながっているのかもしれません笑

 

宣伝・アピール欄

回答中にも何度か名前を出したKey作品ですが、昨年は新作アニメ『Charlotte』の放送と『Angel Beats!』のゲーム版が発売された記念の年でもあったということで、有志を集めて『Life is like a Melody ―麻枝准トリビュート』なる合同誌を制作しました(第二十一回文学フリマ東京、C89で頒布)。Keyではなく麻枝准なんだ! というその真意は主宰であるmeta2さんの熱い巻頭言に譲るとして笑、自分は久弥直樹の存在を梃子にした麻枝准論の執筆と、彼の作る「音楽」に焦点を当てた座談会の企画・構成を担当しています。お陰様で好評をいただいており在庫僅か、増刷を現在検討中……という状態ですが、進展のあった際には自分のTwitterなどでも告知いたしますので、気になる方はぜひチェックしていただければなと!