そろそろ折り返しの第6話を迎えようとしてしいる『Charlotte』だが、麻枝准の「今回はスロースタート」「6話までは観て判断してほしい」との宣言通り、(私見で恐縮だが)どうも掴みが弱い印象がある。
確かに第3話からOP映像に追加された「謎の文字」による演出は考察の欲求を駆り立てるし、OP/EDをはじめBGM、挿入歌のクオリティも総じて高い。ニコニコ動画での配信直後に声優ラジオを生配信したり、全話のサブタイトルを事前に公開、挿入歌をワンコーラス公式でYouTubeにアップするなどプロモーション周りではかなり面白い試みも見られる。しかし肝心の中身がどうもそれらの施策に追いついてきていないのである。せっかくの良い挿入歌も毎回テレビでうっすら流れている、という演出に終始しているし、何より主要キャラクターに魅力があまり感じられない。麻枝は「(テキストの時点では)決して好感度が高いとは言えないキャラ」とメインヒロインである友利奈緒を評していたが、好き嫌い以前にどのような思考回路でその感情の表出に至ったか?ということが読みづらく、しかも行動が傍若無人なものだから「よくわからない人だ」との印象は余計に強まってしまう。主人公の乙坂有宇もそうした友利の行動に眉をひそめるばかりで、「カンニング魔」であった自身を顧みる描写があるでもない。この二人を「主人公とヒロイン」として前面に押し出したビジュアルにはどうにも違和感を覚えてしまう。
「Bravely You/灼け落ちない翼」CDジャケット
……そんなことを考えながら、でもOP曲「Bravely You」は素晴らしい!!と今日も繰り返し聴いていたのだが、その歌詞を聴いているうちに、これは僕のような視聴者の反応を見越した、麻枝准の心の叫びなのではないか?と思えてきた。
崩れて終わる世界
無慈悲に告げる
君はひとり何を聴いてた
僕は遠い夢を見てた
何を選び取る 何を諦める
決めようとしてる僕は何様だ
何を選ぶかはもう決まっている
間違いはないか 神に問いかける
ひとりきりじゃなかった ずっと側にいたんだ
この手を伸ばす
怖いものなんかない
たとえ化物になろうとも成し遂げる
これを「麻枝准の心の叫び」というフィルターをかけて訳すと…
崩れて終わる世界
(崩壊する、いままでの名声)
無慈悲に告げる
(視聴者は言う「麻枝も終わったな」)
君はひとり何を聴いてた
(君=視聴者は「理想の麻枝作品」というものを思い描いている)
僕は遠い夢を見てた
(僕=麻枝准にも、描き出したいビジョンがある)
何を選び取る 何を諦める
決めようとしてる僕は何様だ
(「アニメらしい」脚本を書くにあたって、AB!では取り入れようとして上手くいかなかった「ゲーム性」「たくさんの登場人物」などを切り捨てている)
何を選ぶかはもう決まっている
(しかし、それらに対する未練はもう断ち切っている)
間違いはないか 神に問いかける
(麻枝准にとっての神=視聴者、ユーザー)
ひとりきりじゃなかった ずっと側にいたんだ
この手を伸ばす
(それでも信じてくれるファンはいる!そう信じて手を伸ばす)
怖いものなんかない
たとえ化物になろうとも成し遂げる
(ある意味で化物=いびつな作品になろうとも、描いたビジョンは最後まで描き切ってみせる!)
僕は勝手にこう読んだ。結局のところ麻枝准をまだ信じたい気持ちがあるのである。
麻枝准を信じろ。僕は今日も自分に言い聞かせ続ける。