2019-01-01から1年間の記事一覧

そこに「孤独」の位置はあるか?――新海誠とRADWIMPS、そして『天気の子』

0. 新海誠の監督最新作『天気の子』は、「セカイ系」を2019年現在を舞台にポジティブに捉え直した作品だという評を多く見かける。 「君と僕の(恋愛)物語の正否が社会という中間項を抜きにして『世界の危機』のような抽象的な問題と直結してしまう」 これが…

Key ORCHESTRA CONCERT 2019

東京・六本木のサントリーホールで行われた、「Key ORCHESTRA CONCERT 2019」に行ってきた。 Key ORCHESTRA CONCERT 2019〜祝!20周年。最大の感謝と感動をあなたへ〜 | 株式会社アイムビレッジ 言いたいことはたったひとつ。 息が止まった。何が起きているか…

レクイエム・フォー・イノセンス――『リトルバスターズ!』との10年

本稿は、サークル「Rhetorica」の発行する雑誌『Rhetorica#04』に寄稿したエッセイを編集部の許可を得て転載したものです。『Rethorica#04』の特設サイトはこちら。 大学に入学した2007年、僕は決定的な一作に出会った。京都アニメーション制作によるアニメ…

「セカイ系」と「批評」についての覚え書き

1. 約一年前、「批評再生塾」なるプログラムに参加していた自分はその課題として「『セカイ系批評』再生宣言」なるものを書いた。そこでは「セカイ系」と「批評」との相同性を指摘することで「セカイ系」という語に込められたイメージを刷新し、その「公共的…